第4編 親族 881条
4編 親族/725条〜
1章 総則/725条〜
2章 婚姻/731条〜
1節 婚姻の成立/731条〜
1款 婚姻の要件/731条〜
2款 婚姻の無効及び取消/742条〜
2節 婚姻の効力/750条〜
3節 夫婦財産制/755条〜
1款 総則/755条〜
2款 法定財産制/760条〜
4節 離婚/763条〜
1款 協議上の離婚/763条〜
2款 裁判上の離婚/770条〜
3章 親子/772条〜
1節 実子/772条〜
2節 養子/792条〜
1款 縁組の要件/792条〜
2款 縁組の無効及び取消/802条〜
3款 縁組の効力/809条〜
4款 離縁/811条〜
5款 特別養子/817の2条〜
4章 親権/818条〜
1節 総則/818条〜
2節 親権の効力/820条〜
3節 親権の喪失/834条〜
5章 後見/838条〜
1節 後見の開始/838条〜
2節 後見の機関/839条〜
1款 後見人/839条〜
2款 後見監督人/848条〜
3節 後見の事務/853条〜
4節 後見の終了/870条〜
6章 扶養/877条〜
 
民法
〔第四編、第五編は明三一法九として公布、昭二二法二二二により全部改正〕
 
〔上諭省略〕
民法第四編第五編別冊の通之を定む
此法律施行の期日は勅令を以て之を定む〔明三一勅一二三により、明三一・七・一六から施行〕
明治二十三年法律第九十八号民法財産取得編人事編は此法律発布の日より之を廃止す
 
第1章 総則
第725条〔親族の範囲〕
左に掲げる者は、これを親族とする。
一 六親等内の血族
二 配偶者
三 三親等内の姻族
*親等(七二六)、法定血族(七二七)、互助義務(七三〇)、近親婚の制限(七三四−七三六)、扶養義務(八七七)、相続権(八八七−八九〇)、親族間の犯罪の特則(刑一〇五・二四四・二五五)
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第726条〔親等の計算〕
親等は、親族間の世数を数えて、これを定める。
□傍系親族の親等を定めるには、その一人又はその配偶者から同一の始祖にさかのぼり、その始祖から他の一人に下るまでの世数による。
*親族(七二五)
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第727条〔縁組による親族関係〕
養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけると同一の親族関係を生ずる。
*養子縁組(七九二−八一七の一一)、養子縁組の日(七九九・七三九)、養子と養親との間の嫡出子関係(八〇九)、縁組による親族関係の消滅(七二九)
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第728条〔姻族関係の消滅〕
姻族関係は、離婚によつて終了する。
□夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様である。
*姻族関係(七二五(3))、婚姻障害(七三五)、□生存配偶者の復氏および祭祀供用物の権利の承継(七五一・七六九)、姻族関係終了の意思表示(戸九六)
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第729条〔離縁による親族関係の消滅〕
養子、その配偶者、直系卑属及びその配偶者と養親及びその血族との親族関係は、離縁によつて終了する。
*縁組による親族関係(七二七・八〇九)、離縁による親族関係の消滅と婚姻障害(七三六)、離縁(八一一−八一七・八一七の一〇)、縁組の取消し(八〇三以下)
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第730条〔親族間の互助義務〕
直系血族及び同居の親族は、互に扶け合わなければならない。
*直系血族および兄弟姉妹間の扶養義務(八七七−八八一)、夫婦間の協力・扶助義務(七五二)
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第2章 婚姻
第1節 婚姻の成立
⇒判例要旨
第1款 婚姻の要件
第731条〔婚姻適齢〕
男は、満十八歳に、女は、満十六歳にならなければ、婚姻をすることができない。
*審査事項(七四〇)、本条に違反する婚姻の取消し(七四四・七四五)、成年擬制(七五三)、婚姻成立要件の準拠法(法例一三)
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第732条〔重婚禁止〕
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。
*婚姻届出の審査(七四〇)、本条に違反する婚姻の取消し(七四四)、失踪宣告の取消しと重婚(三二1)、前婚の離婚原因(七七〇1(1))、重婚罪(刑一八四)、新法施行前の重婚(附則一一)
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第733条〔再婚禁止期間〕
女は、前婚の解消又は取消の日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
□女が前婚の解消又は取消の前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。
*婚姻届出の審査(七四〇)、本条に違反する婚姻の取消し(七四四・七四六)、本条違反の婚姻により生まれた子の父(七七三)、嫡出の推定(七七二)
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⇒判例要旨
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第734条〔近親婚の禁止〕
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。但し、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
□第八百十七条の九〔特別養子縁組による親族関係の終了〕の規定によつて親族関係が終了した後も、前項と同様とする。
〔昭六二法一〇一第二項追加〕
*養親子と血族関係(七二七・七二九)、婚姻届出の審査(七四〇)、本条に違反する婚姻の取消し(七四四)
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第735条〔直系姻族間の婚姻禁止〕
直系姻族の間では、婚姻をすることができない。第七百二十八条〔姻族関係の消滅〕又は第八百十七条の九〔特別養子縁組による親族関係の終了〕の規定によつて姻族関係が終了した後も、同様である。
〔昭六二法一〇一本条改正〕
*姻族関係の終了(七四八1)、婚姻届出の審査(七四〇)、本条に違反する婚姻の取消し(七四四)
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第736条〔養親子関係者間の婚姻禁止〕
養子、その配偶者、直系卑属又はその配偶者と養親又はその直系尊属との間では、第七百二十九条〔離縁による親族関係の消滅〕の規定によつて親族関係が終了した後でも、婚姻をすることができない。
*養親子関係に基づく親族関係(七二七)、養子と養方の傍系血族との婚姻(七三四但)、婚姻届出の審査(七四〇)、本条に違反する婚姻の取消し(七四四)
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第737条〔未成年者の婚姻〕
未成年の子が婚姻をするには、父母の同意を得なければならない。
□父母の一方が同意しないときは、他の一方の同意だけで足りる。父母の一方が知れないとき、死亡したとき、又はその意思を表示することができないときも、同様である。
*婚姻適齢(七三一)、届出と同意書の添付(戸三八・三九)、婚姻届出の審査(七四〇)、成年擬制(七五三)
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*〔平11法149改正〕
第738条〔成年被後見人の婚姻〕
成年被後見人が婚姻をするには、その成年後見人の同意を要しない。
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第738条〔禁治産者の婚姻〕
禁治産者が婚姻をするには、その後見人の同意を要しない。
*婚姻届出と診断書の添付(戸三二2)、協議上および裁判上の離婚に後見人の同意不要(七六四、人訴三)、縁組に後見人の同意不要(七九九)、協議上および裁判上の離縁に後見人の同意不要(八一二、人訴三・二六)、婚姻の方式の準拠法(法例一三)、準用(七九九・八一二)
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第739条〔婚姻の方式〕
婚姻は、戸籍法の定めるところによりこれを届け出ることによつて、その効力を生ずる。
□前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上から、口頭又は署名した書面で、これをしなければならない。
*□婚姻の届出(戸七四・二五−四八、戸施規五六・五九)、婚姻届出の審査(七四〇)、在外日本人の婚姻届出(七四一)、婚姻届出と戸籍の記載および新戸籍の編製(戸一四1・一六・二三)、届出なき婚姻の無効(七四二(2))、内縁関係の保護(労災一二の五・一六の二・一六の四、労基七九、船員九三、厚年金三2・五九1、健保一、母体保護三、借地借家三六)、□証人(戸三三)、方式を具備しない届出(七四〇・七四二(2)但)、本条の準用(七四一)、婚姻の方式の準拠法(法例一三)、本条の準用(七九九・八一二)
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⇒判例要旨
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第740条〔婚姻届出の審査〕
婚姻の届出は、その婚姻が第七百三十一条乃至第七百三十七条〔婚姻の実質的要件〕及び前条第二項の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、これを受理することができない。
*七三九条二項違反の届出と婚姻の効力(七四二(2)但)、不受理に対する不服申立て(戸一一八)、本条の準用(七四一)
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第741条〔在外日本人間の婚姻の方式〕
外国に在る日本人間で婚姻をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合には、前二条の規定を準用する。
*在外日本人の届出(戸四〇−四二)、本籍地への届出も可(戸二五)、婚姻成立要件の準拠法(法例一三)
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第2款 婚姻の無効及び取消
第742条〔婚姻の無効〕
婚姻は、左の場合に限り、無効とする。
一 人違その他の事由によつて当事者間に婚姻をする意思がないとき。
二 当事者が婚姻の届出をしないとき。但し、その届出が第七百三十九条第二項〔婚姻の届出の方法〕に掲げる条件を欠くだけであるときは、婚姻は、これがために、その効力を妨げられることがない。
*婚姻の届出(七三九・七四一)、婚姻無効の訴え(人訴一−三・五−一二・一八−二三)、婚姻無効の審判(家審二三−二五・二六2)、婚姻無効の届出(戸一一四−一一六、家審規一四三)
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⇒判例要旨
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第743条〔婚姻の取消し〕
婚姻は、第七百四十四条乃至第七百四十七条の規定によらなければ、これを取り消すことができない。
*婚姻届出の審査(七四〇)、婚姻取消しの訴え(人訴一−三・五−一二・一五−二三)、婚姻取消しの審判(家審二三−二五・二六2)、婚姻取消しの届出(戸七五・六三、家審規一四三)、新法施行前の婚姻取消事由(附則八)、婚姻取消しの効果(七四八・七四九)
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第744条〔婚姻取消事由および取消権者〕
第七百三十一条乃至第七百三十六条〔婚姻の実質的要件〕の規定に違反した婚姻は、各当事者、その親族又は検察官から、その取消を裁判所に請求することができる。但し、検察官は、当事者の一方が死亡した後は、これを請求することができない。
□第七百三十二条〔重婚禁止〕又は第七百三十三条〔再婚禁止期間〕の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消を請求することができる。
*婚姻取消しの手続(人訴一−三・五−一二・一五−二三、家審二三−二五・二六2)、取消権の消滅(七四五・七四六)
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第745条〔不適齢婚取消権の消滅〕
第七百三十一条〔婚姻適齢〕の規定に違反した婚姻は、不適齢者が適齢に達したときは、その取消を請求することができない。
□不適齢者は、適齢に達した後、なお三箇月間は、その婚姻の取消を請求することができる。但し、適齢に達した後に追認をしたときは、この限りでない。
*追認(一二二・一二三)
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第746条〔再婚禁止期間内の婚姻の取消権の消滅〕
第七百三十三条〔再婚禁止の期間〕の規定に違反した婚姻は、前婚の解消若しくは取消の日から六箇月を経過し、又は女が再婚後に懐胎したときは、その取消を請求することができない。
*期間の計算(一四〇・一四三)
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第747条〔詐欺・強迫による婚姻の取消し〕
詐欺又は強迫によつて婚姻をした者は、その婚姻の取消を裁判所に請求することができる。
□前項の取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免かれた後三箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
*意思の欠缺と婚姻の無効(七四二(1))、婚姻の取消し(七四三)、追認(一二二・一二三)
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第748条〔婚姻取消しの効果〕
婚姻の取消は、その効力を既往に及ぼさない。
□婚姻の当時その取消の原因があることを知らなかつた当事者が、婚姻によつて財産を得たときは、現に利益を受ける限度において、その返還をしなければならない。
□婚姻の当時その取消の原因があることを知つていた当事者は、婚姻によつて得た利益の全部を返還しなければならない。なお、相手方が善意であつたときは、これに対して損害を賠償する責に任ずる。
*婚姻取消しの届出(戸七五・六三、家審規一四三)、婚姻取消しの本条外の効果(七四九・附則一〇2)、婚姻取消しと姻族関係の消滅(七二八1)、婚姻の取消しと親権者の指定(八一九2、人訴一五5)、婚姻取消しと嫡出子(七七二・七八九)、利得の返還と不当利得(七〇三・七〇四)
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第749条〔離婚の規定の準用〕
第七百六十六条乃至第七百六十九条〔離婚の効果〕の規定は、婚姻の取消につきこれを準用する。
*子の監護者(七六六、人訴一五・一六、家審九1乙(4)・一七)、財産分与(附則一〇2・二八、人訴一五・一六、家審九1乙(5)・一七、家審規五六)、祭祀供用物の承継(八九七、家審九1乙(6)・一七、家審規五七−五九)
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第2節 婚姻の効力
第750条〔夫婦の氏〕
夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
*氏の届出(戸七四(1))、戸籍の記載(戸六・一六・一四1)、夫婦の一方の死亡・婚姻の取消しまたは離婚と復氏(七五一・七四九・七六七)、嫡出子と父母の氏(七九〇1)、婚姻の効力の準拠法(法例一四)
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第751条〔生存配偶者の復氏〕
夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。
□第七百六十九条〔離婚による復氏の際の祭祀供用物の承継〕の規定は、前項及び第七百二十八条第二項〔生存配偶者の姻族関係終了の意思表示〕の場合にこれを準用する。
*復氏の届出(戸九五・一九2・二三)、夫婦の一方の死亡と姻族関係の終了(七二八)、復氏と祭祀供用物の承継(七六九・八九七)
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第752条〔同居・協力・扶助義務〕
夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。
*同居協力扶助事件と審判および調停(家審九1乙(1)・一七以下、家審規四五・四六)、悪意の遺棄と離婚(七七〇1(2))、親族間の互助(七三〇)、婚姻費用の分担(七六〇)
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⇒判例要旨
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第753条〔婚姻による成年化〕
未成年者が婚姻をしたときは、これによつて成年に達したものとみなす。
*未成年者の婚姻(七三一・七三七)、成年に達した効果(四・八一八1・八三八(1))、未成年の子に対する親権行使可能(八三三・八六七1)、後見人適格(八四六(1))、養親適格(七九二)
⇒参照条文
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第754条〔夫婦間の契約取消権〕
夫婦間で契約をしたときは、その契約は、婚姻中、何時でも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。但し、第三者の権利を害することができない。
*取消し(一二一・一二三)、夫婦間の権利の時効(一五九ノ二)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第3節 夫婦財産制
第1款 総則
第755条〔夫婦の財産関係〕
夫婦が、婚姻の届出前に、その財産について別段の契約をしなかつたときは、その財産関係は、次の款に定めるところによる。
*別段の契約(七五六・七五八−七五九)、夫婦財産制の準拠法(法例一五)
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第756条〔夫婦財産契約の対抗要件〕
夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
*婚姻の届出(七三九・七四一)、登記(非訟一一八・一一九・一二三・一二五、明三二司一五夫婦財産契約登記取扱手続)
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第757条〔外国人の夫婦財産契約の対抗要件〕
削除〔平一法二七〕
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第758条〔夫婦財産関係の変更〕
夫婦の財産関係は、婚姻届出の後は、これを変更することができない。
□夫婦の一方が、他の一方の財産を管理する場合において、管理が失当であつたことによつてその財産を危うくしたときは、他の一方は、自らその管理をすることを家庭裁判所に請求することができる。
□共有財産については、前項の請求とともにその分割を請求することができる。
*□管理者変更の審判および調停(家審九1乙(2)・一七・二六、家審規四七・四九・五〇)、管理者変更の登記(七五九、非訟一二三2・一二五)、□夫婦財産共有の推定(七六二2)、共有物の分割(二五六・二五八以下)、分割の第三者対抗要件(家審九1乙(2)・一七以下、家審規四八−五〇、民七五九、非訟一二三2・一二五)
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第759条〔夫婦財産関係変更の対抗要件〕
前条の規定又は契約の結果によつて、管理者を変更し、又は共有財産の分割をしたときは、その登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
*夫婦財産契約の登記(七五六)、管理者の変更または共有財産分割の登記(非訟一二三(2)・一二五)、登記手続(明三二司一五夫婦財産契約登記取扱手続)
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第2款 法定財産制
第760条〔婚姻費用の分担〕
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
*夫婦の協力義務(七五二)、法定財産制の性質(七五五)、婚姻費用分担の審判と調停(家審九1乙(3)・一五・一七以下、家審規五一)
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第761条〔日常家事による債務の連帯責任〕
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによつて生じた債務について、連帯してその責に任ずる。但し、第三者に対し責に任じない旨を予告した場合は、この限りでない。
*連帯債務(四三二)
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第762条〔特有財産、帰属不明財産の共有推定〕
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。
□夫婦のいずれに属するか明かでない財産は、その共有に属するものと推定する。
*共有(二四九−二六二・二六四)
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第4節 離婚
第1款 協議上の離婚
第763条〔協議上の離婚〕
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
*未成年者も父母の同意不要(七五三)、協議上の離婚の届出・効力の発生(七六四・七六五・七三九、戸七六、戸施規五七1)、調停による離婚(家審一七・二一、家審規一四三、戸七七・六三、戸施規五七2)、審判による離婚(家審一七・二四・二五、家審規一四三、戸七七・六三、戸施規五七2)、裁判上の離婚(七七〇・七七一、戸七七・六三、戸施規五七2)、離婚と子の監護(七六六)、離婚と親権者の定め(八一九、戸七六(1))、離婚の効果(七六六−七六九)、離婚による姻族関係の消滅(七二八1)、離婚と婚姻障害の存続(七三五)、離婚の準拠法(法例一六)
⇒参照条文
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第764条〔禁治産者の離婚、離婚の届出、詐欺・強迫による離婚〕
第七百三十八条〔禁治産者の婚姻〕、第七百三十九条〔婚姻の方式〕及び第七百四十七条〔詐欺・強迫による婚姻の取消し〕の規定は、協議上の離婚にこれを準用する。
*離婚の届出(七六五、戸七六、戸施規五七1・五九)、詐欺強迫による離婚の取消し(附則九、人訴一−三・五−一二・一八−二四、家審二三−二五、家審規一四三、戸七七・六三)
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⇒判例要旨
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第765条〔離婚届出の審査〕
離婚の届出は、その離婚が第七百三十九条第二項〔婚姻の届出の方法に関する要件〕及び第八百十九条第一項〔協議上の離婚の場合における親権者の決定〕の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、これを受理することができない。
□離婚の届出が前項の規定に違反して受理されたときでも、離婚は、これがために、その効力を妨げられることがない。
*その他の法令(法例一六)
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第766条〔子の監護者の決定〕
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者その他監護について必要な事項は、その協議でこれを定める。協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。
□子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の監護をすべき者を変更し、その他監護について相当な処分を命ずることができる。
□前二項の規定は、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生ずることがない。
*離婚と親権者の定め(八一九・七六五)、親権と子の監護(八二〇−八二二)、監護費用の負担(八二八・八七七)、子の監護に関する審判および調停(家審九1乙(4)・一七以下、家審規五二−五五)、監護外の父母の権利義務の例(七三七・八二三−八三三・八七七)、本条の準用(七四九・七七一・七八八)
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第767条〔離婚による復氏〕
婚姻によつて氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によつて婚姻前の氏に復する。
□前項の規定によつて婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、離婚の際に称していた氏を称することができる。
〔昭五一法六六第二項追加〕
*婚姻と氏(七五〇)、復氏と祭祀供有物の承継(七六九)、離婚と子の氏(七九〇・七九一)、復氏と戸籍(戸一九1・二三)、戸主の廃止と経過措置(附則二八)、本条の準用(七四九・七七一)、二項による呼称変更の届出(戸七七の二)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第768条〔離婚による財産分与〕
協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
□前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。但し、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
□前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によつて得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
*□新法施行前の離婚と財産分与(附則一〇1、家審附則2)、□財産分与の審判および調停(家審九1乙(5)・一五・一七、家審規五六・五六の二)、本条の準用(七七一・七四九)
⇒参照条文
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第769条〔離婚による復氏の際の祭祀供用物の承継〕
婚姻によつて氏を改めた夫又は妻が、第八百九十七条第一項〔祭祀供用物の承継〕の権利を承継した後、協議上の離婚をしたときは、当事者その他の関係人の協議で、その権利を承継すべき者を定めなければならない。
□前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、前項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所がこれを定める。
*離婚による復氏(七六七)、祭祀供用物の承継者の指定の審判および調停(家審九1乙(6)・一五・一七以下、家審規五七−五九)、本条の準用(七四九・七五一2・七七一・八〇八・八一七)
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第2款 裁判上の離婚
第770条〔裁判上の離婚原因〕
夫婦の一方は、左の場合に限り、離婚の訴を提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があつたとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明かでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込がないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
□裁判所は、前項第一号乃至第四号の事由があるときでも、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
*新法施行前に生じた離婚原因(附則一一)、離婚の訴訟・調停および審判(人訴一・三−二三、家審一七−二二・二四・二五、戸施規五七2(1)(5))、裁判上の離婚と届出(戸七七・六三、戸施規五七2、家審規一四三)、離婚の準拠法(法例一六)
⇒参照条文
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第771条〔協議上の離婚の規定の準用〕
第七百六十六条乃至第七百六十九条〔協議上の離婚の効果〕の規定は、裁判上の離婚にこれを準用する。
*親権者の決定(八一九2)、裁判所による子の監護・財産分与の決定(人訴一五・一六)、離婚による復氏・財産分与(七六六−七六九条の参照条文参照)
⇒参照条文
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第3章 親子
第1節 実子
第772条〔嫡出の推定〕
妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
□婚姻成立の日から二百日後又は婚姻の解消若しくは取消の日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
*出生届(戸四九−五九・六二、戸施規五五・五九・六〇)、子の嫡出の否認(七七四−七七八)、嫡出子の氏(七九〇1)、嫡出子と出生届(戸五二・六二)、嫡出子の相続分(九〇〇(4))、嫡出の準拠法(法例一七)
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⇒判例要旨
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第773条〔父を定める訴え〕
第七百三十三条第一項〔再婚禁止期間〕の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によつてその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
*父を定める事件の訴訟と調停および審判(人訴二七・三〇−三二、家審一七・二三−二五・二六2、家審規一四三)、本条の場合の出生届(戸五四・四九以下)
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第774条〔嫡出の否認〕
第七百七十二条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
*否認権の行使(七七五−七七八、人訴二七−二九・三一・三二、家審規一四三)、出生届(戸五三)
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第775条〔嫡出否認の訴え〕
前条の否認権は、子又は親権を行う母に対する訴によつてこれを行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
*否認の訴えと調停および審判(人訴二七−二九・三一・三二、家審一七・二三−二五・二六2)、親権を行う母(八一八・八三四−八三七)、親権を行う母がないとき(八一九1,2・八三四・八三七)、特別代理人の選任(家審九1甲(5)、家審規六〇)、否認の訴えの提起と出生届(戸五三)
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第776条〔嫡出の承認〕
夫が、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。
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第777条〔否認権の出訴期間〕
否認の訴は、夫が子の出生を知つた時から一年以内にこれを提起しなければならない。
*夫死亡後の嫡出否認の訴え(人訴二九1,2)、禁治産者の出訴期間(七七八)
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*〔平11法149改正〕
第778条〔成年被後見人の否認権の出訴期間〕
夫が成年被後見人であるときは、前条の期間は、後見開始の審判の取消しがあつた後夫が子の出生を知つた時から、これを起算する。
第778条〔禁治産者の否認権の出訴期間〕
夫が禁治産者であるときは、前条の期間は、禁治産の取消があつた後夫が子の出生を知つた時から、これを起算する。
*後見監督人による嫡出否認の訴えの提起(人訴二八)
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第779条〔認知〕
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
*非嫡出子の出生届(戸五二2)、非嫡出子の地位(七九〇2・七九一・八一八・八一九4-6・九〇〇(4))、強制認知(七八七)、認知の準拠法(法例一八)、認知の無効取消し(七八五・七八六・九五・九六、人訴二七、家審二三)
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⇒判例要旨
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第780条〔認知能力〕
認知をするには、父又は母が無能力者であるときでも、その法定代理人の同意を要しない。
*無能力者の認知と届出(戸三二)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときでも、その法定代理人の同意を要しない。
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第781条〔認知の方式〕
認知は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによつてこれをする。
□認知は、遺言によつても、これをすることができる。
*□認知の届出(戸六〇・六一)、認知効を有する嫡出子出生届(戸六二)、□遺言(九六〇以下)、遺言による認知の届出(戸六四)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第782条〔成年の子の認知〕
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
*届出と承諾書の添付(戸三八・三九)
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第783条〔胎児・死亡子の認知〕
父は、胎内に在る子でも、これを認知することができる。この場合には、母の承諾を得なければならない。
□父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、これを認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
*□胎児の認知の届出(戸六一・六四・六五)、届出と承諾書の添付(戸三八・三九)、認知された胎児の地位(七二一・八八六・九〇〇(4)但)、□死亡した子の認知と届出(七八九3、戸六〇(2)・六四)、届出と承諾書の添付(戸三八・三九)
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第784条〔認知の遡及効〕
認知は、出生の時にさかのぼつてその効力を生ずる。但し、第三者が既に取得した権利を害することができない。
*相続開始後の認知と遺産分割請求(九一〇)、扶養義務の遡及(八七七)
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第785条〔認知撤回の禁止〕
認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
*遺言の取消し(一〇二二)、認知の無効取消し(九五・九六・七八六、人訴二七・三一・三二、家審二三−二五・二六2、家審規一四三、戸一一四以下)
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⇒判例要旨
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第786条〔認知に対する反対事実の主張〕
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。
*認知の無効取消し(人訴二七・三一・三二、家審二三−二五・二六2、家審規一四三、戸一一四以下)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第787条〔認知の訴え〕
子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴を提起することができる。但し、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
*認知の訴訟および審判(人訴二七・二九ノ二・三一・三二、家審二三−二五・二六2、家審規一四三)、特例(認知特例)
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第788条〔子の監護者の決定〕
第七百六十六条〔離婚の際における子の監護者の決定〕の規定は、父が認知する場合にこれを準用する。
*家庭裁判所の処理(家審九1乙(4)・一七以下、家審規六一)
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第789条〔準正〕
父が認知した子は、その父母の婚姻によつて嫡出子たる身分を取得する。
□婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子たる身分を取得する。
□前二項の規定は、子が既に死亡した場合にこれを準用する。
*嫡出子出生の届出と認知届出の効力(戸六二・五二)、嫡出子の氏(七九〇1)、嫡出子の親権者(八一八3)、嫡出子の相続分(九〇〇(4))、準正の準拠法(法例一九)
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第790条〔子の氏〕
嫡出である子は、父母の氏を称する。但し、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
□嫡出でない子は、母の氏を称する。
*氏の変更(七九一)、離婚による復氏(七六七・七七一)、養子と氏(八一〇・八一六・八〇八2)、出生の届出(戸五二1,3)、棄児の氏(戸五七−五九)、子の氏と戸籍(戸六・一八・二三)
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第791条〔子の氏の変更〕
子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、その父又は母の氏を称することができる。
□父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、その父母の氏を称することができる。
□子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わつて、前二項の行為をすることができる。
□前三項の規定によつて氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、従前の氏に復することができる。
〔昭六二法一〇一本条改正〕
*子が父または母と氏を異にする場合の例(離婚による復氏=七六七・七七一、婚姻の取消しによる復氏=七四九、婚姻による父または母の改氏=七五〇、養子縁組による父または母の改氏=八一〇、離縁・縁組の取消しによる父母の復氏=八一六・八〇八、非嫡出子の認知=七七九・七八七)、□家庭裁判所の許可(家審九1甲(6)、家審規六二)、氏の変更の届出(戸九八・三八2)、□復氏の届出(戸九九・一九2・二〇・二三)、旧法で入籍した子の復氏(附則一二)
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第2節 養子
第1款 縁組の要件
第792条〔養子をする能力〕
成年に達した者は、養子をすることができる。
*本条違反の届出の不受理(八〇〇)、本条違反の縁組の取消し(八〇四)、外国人を養子とした場合(国籍八(2))、縁組の準拠法(法例二〇)
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第793条〔尊属養子・年長者養子の禁止〕
尊属又は年長者は、これを養子とすることができない。
*本条違反の不受理(八〇〇)、本条違反の縁組の取消し(八〇五)
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*〔平11法149改正〕
第794条〔後見人・被後見人間の縁組〕
後見人が被後見人(未成年被後見人及び成年被後見人をいう。以下同じ。)を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだ管理の計算が終わらない間も、同様である。
第794条〔後見人・被後見人間の縁組〕
後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。後見人の任務が終了した後、まだ管理の計算が終わらない間も、同様である。
*家庭裁判所の許可(家審九1甲(7)、家審規六三)、届出と許可書の添附(戸三八2)、管理の計算の終了(八七〇)、本条違反の届出の不受理(八〇〇)、本条違反の縁組の取消し(八〇六)
⇒参照条文
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第795条〔配偶者のある者の未成年者縁組〕
配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
〔昭六二法一〇一本条改正〕
*本条違反の届出の不受理(八〇〇)、本条に違反する縁組の無効(八〇二)、特別養子の場合(八一七の三)、共同離縁(八一一の二)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第796条〔配偶者のある者の縁組−配偶者の同意〕
配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
〔昭六二法一〇一本条改正〕
*本条違反の届出の不受理(八〇〇)、本条違反の縁組の取消し(八〇六の二)、配偶者とともにする縁組(七九五・八一七の三)
⇒参照条文
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第797条〔十五歳未満の養子−代諾養子〕
養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わつて、縁組の承諾をすることができる。
□法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。
〔昭六二法一〇一第二項追加〕
*□代諾と許可(児福四七)、未成年養子と許可(七九八・八〇七)、代諾縁組の届出(戸六八)、本項違反の届出の不受理(八〇〇)、本項違反の縁組無効(八〇二(1))、一五歳未満の養子と縁組の取消しおよび離縁(八〇七・八一一2・八一五)、□監護者(七六六)、本項違反の届出の不受理(八〇〇)、本項違反の縁組の取消し(八〇六の三)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第0798条〔未成年の養子〕
未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。但し、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
*未成年者(三・七五三)、家庭裁判所の許可(家審九1甲(7)、家審規六三)、届出と許可書の添附(戸三八2)、本条違反の届出の不受理(八〇〇)、本条違反の縁組の取消し(八〇七)
⇒参照条文
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第799条〔禁治産者の縁組、縁組の届出〕
第七百三十八条〔禁治産者の婚姻〕及び第七百三十九条〔婚姻の方式〕の規定は、縁組にこれを準用する。
*縁組届出の審査(八〇〇)、縁組の無効(八〇二(2))、縁組の届出手続(戸六六−六八)
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第800条〔縁組届出の審査〕
縁組の届出は、その縁組が第七百九十二条乃至前条〔縁組の要件〕の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、これを受理することができない。
*縁組の届出(七三九、戸六六−六八)、違反の届出と縁組の取消し(八〇三−八〇八)、七三九条二項違反の届出と縁組の効力(八〇二(2)但)、不受理に対する不服申立て(戸一一八、特家審規一三−一七)、その他の法令(法例二〇)、事実上養子縁組関係と同様の者(厚年金六三1(3))
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第801条〔在外日本人間の縁組の方式〕
外国に在る日本人間で縁組をしようとするときは、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその届出をすることができる。この場合には、第七百三十九条〔婚姻の方式〕及び前条の規定を準用する。
*外国における届出(戸四〇−四二)、本籍地への届出も可(戸二五)
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第2款 縁組の無効及び取消
第802条〔縁組の無効〕
縁組は左の場合に限り、無効とする。
一 人違その他の事由によつて当事者間に縁組をする意思がないとき。
二 当事者が縁組の届出をしないとき。但し、その届出が第七百三十九条第二項〔婚姻の届出の方法に関する要件〕に掲げる条件を欠くだけであるときは、縁組は、これがために、その効力を妨げられることがない。
*縁組の意思のない場合(七九五−七九七)、縁組の届出(七九九・八〇一)、縁組無効の訴訟および審判(人訴二四・二六、家審二三−二五・二六2)、縁組の無効と戸籍の訂正(戸一一四−一一六、家審規一四三)、縁組の効力の準拠法(法例二〇)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第803条〔縁組の取消し〕
縁組は、第八百四条乃至第八百八条の規定によらなければ、これを取り消すことができない。
*縁組届出の審査(八〇〇)、縁組取消しの訴え(人訴二四−二六)、縁組取消しの審判(家審二三・二五・二六2)、縁組取消しの届出(戸六九、家審規一四三)、新法施行前の取消事由(附則一三・八)、縁組取消しの効果(八〇八)、縁組取消しの準拠法(法例二〇)
⇒参照条文
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第804条〔養親が未成年の縁組の取消し〕
第七百九十二条の規定に違反した縁組は、養親又はその法定代理人から、その取消を裁判所に請求することができる。但し、養親が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
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第805条〔養子が尊属または年長者である縁組の取消し〕
第七百九十三条〔尊属養子・年長者養子の禁止〕の規定に違反した縁組は、各当事者又はその親族から、その取消を裁判所に請求することができる。
⇒判例要旨
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第806条〔後見人・被後見人間の無許可縁組の取消し〕
第七百九十四条〔後見人・被後見人間の縁組〕の規定に違反した縁組は、養子又はその実方の親族から、その取消を裁判所に請求することができる。但し、管理の計算が終わつた後、養子が追認をし、又は六箇月を経過したときは、この限りでない。
□追認は、養子が、成年に達し、又は能力を回復した後、これをしなければ、その効力がない。
□養子が、成年に達せず、又は能力を回復しない間に、管理の計算が終わつた場合には、第一項但書の期間は、養子が、成年に達し、又は能力を回復した時から、これを起算する。
*後見人の管理の計算(八七〇以下)、後見監督人の訴えの提起(八五一(4))
⇒参照条文
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第806条の2〔配偶者の同意のない縁組等の取消し〕
第七百九十六条〔配偶者の同意〕の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その者が、縁組を知つた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
□詐欺又は強迫によつて第七百九十六条の同意をした者は、その縁組の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
〔昭六二法一〇一本条追加〕
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第806条の3〔監護者の同意のない縁組等の取消し〕
第七百九十七条第二項〔監護者の同意〕の規定に違反した縁組は、縁組の同意をしていない者から、その取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その者が追認をしたとき、又は養子が十五歳に達した後六箇月を経過し、若しくは追認をしたときは、この限りでない。
□前条第二項の規定は、詐欺又は強迫によつて第七百九十七条第二項の同意をした者にこれを準用する。
〔昭六二法一〇一本条追加〕
*縁組の取消し(八〇三・八〇八)、追認(一二二・一二三)
⇒参照条文
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第807条〔養子が未成年の無許可縁組の取消し〕
第七百九十八条〔未成年の養子〕の規定に違反した縁組は、養子、その実方の親族又は養子に代わつて縁組の承諾をした者から、その取消を裁判所に請求することができる。但し、養子が、成年に達した後六箇月を経過し、又は追認をしたときは、この限りでない。
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第808条〔詐欺・強迫による縁組の取消し、縁組取消しの効果・祭祀供用物の承継、復氏〕
第七百四十七条〔詐欺・強迫による婚姻の取消し〕及び第七百四十八条〔婚姻取消しの効果〕の規定は、縁組にこれを準用する。但し、第七百四十七条第二項〔取消権の消滅〕の期間は、これを六箇月とする。
□第七百六十九条〔離婚による復氏の際の祭祀供用物の承継〕及び第八百十六条〔離縁による復氏〕の規定は、縁組の取消にこれを準用する。
*□縁組取消しの効果(附則二八)、□縁組の取消しと祭祀供用物の承継者(家審九1乙(6)・一五・一七以下、家審規六九)
⇒参照条文
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第3款 縁組の効力
第809条〔嫡出親子関係の発生〕
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子たる身分を取得する。
*縁組の日(七九九・七三九)、養子の氏(八一〇・八一六・八〇八2)、養子と親権者(八一八2)、養子と日本の国籍取得(国籍八(2))、縁組による親族関係(七二七・七二九・七三六)、縁組と扶助・扶養関係(七三〇・八七七)
⇒参照条文
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第810条〔養子の氏〕
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によつて氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
〔昭六二法一〇一本条改正〕
*養子の子の氏の変更(七九一)、離縁または縁組取消しと復氏(八一六・八〇八2)、養子と戸籍(戸一八3・二〇・二三)、婚姻による改氏(七五〇)
⇒参照条文
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第4款 離縁
*〔平11法149改正〕
第811条 〔協議上の離縁等同〕
□から□まで〔同〕
□第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によつて、養子の離縁後にその未成年後見人となるべき者を選任する。
第811条〔協議上の離縁等〕
縁組の当事者は、その協議で、離縁をすることができる。
□養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。
□前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。
□前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、前項の父若しくは母又は養親の請求によつて、協議に代わる審判をすることができる。
□第二項の法定代理人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、養子の親族その他の利害関係人の請求によつて、養子の離縁後にその後見人となるべき者を選任する。
□縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をしようとするときは、家庭裁判所の許可を得て、これをすることができる。
〔昭三七法四〇第二項改正・三項〜五項追加、昭六二法一〇一第六項改正〕
*本条違反の届出の不受理(八一三1)、□審判手続(家審九1乙(6)の二、家審規六三の二)、□審判手続(家審九1甲(7)の二、家審規六三の三)、後見の届出(戸八一・八三)、□離縁の許可(家審九1甲(8)、家審規六四)、死後離縁の届出(戸七二・三八2)、特別養子の特則(八一七の一〇)
⇒参照条文
□〔同〕
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第811条の2〔養親が夫婦である場合の離縁〕
養親が夫婦である場合において未成年者と離縁をするには、夫婦がともにしなければならない。ただし、夫婦の一方がその意思を表示することができないときは、この限りでない。
〔昭六二法一〇一本条追加〕
*本条違反の届出の不受理(八一三1)、本条違反の離縁の効力(八一三2)
⇒参照条文
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第812条〔禁治産者の離縁、離縁の届出、詐欺・強迫による離縁の取消し〕
第七百三十八条〔禁治産者の婚姻〕、第七百三十九条〔婚姻の方式〕、第七百四十七条〔詐欺・強迫による婚姻の取消し〕及び第八百八条第一項但書〔詐欺・強迫による縁組の取消権行使の期間〕の規定は、協議上の離縁にこれを準用する。
*離縁の届出(七三九・八一三、戸七〇−七二)、離縁取消しの届出(戸七三)
⇒参照条文
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第813条〔離縁届出の審査、違法届出受理の効力〕
離縁の届出は、その離縁が第七百三十九条第二項〔婚姻の届出の方法に関する要件〕、第八百十一条〔協議上の離縁等〕及び第八百十一条の二〔養親が夫婦である場合の離縁〕の規定その他の法令に違反しないことを認めた後でなければ、これを受理することができない。
□離縁の届出が前項の規定に違反して受理されたときでも、離縁は、これがために、その効力を妨げられることがない。
〔昭六二法一〇一第一項改正〕
*離縁の届出(八一二、戸七〇−七二)、その他の法令(法例二〇)、届出と離縁の効力(八一二)、特別養子の特則(八一七の一〇)
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第814条〔裁判上の離縁原因〕
縁組の当事者の一方は、次の場合に限り、離縁の訴えを提起することができる。
一 他の一方から悪意で遺棄されたとき。
二 他の一方の生死が三年以上明らかでないとき。
三 その他縁組を継続し難い重大な事由があるとき。
□第七百七十条第二項〔婚姻の継続を相当と認める場合の裁判所の離婚請求棄却〕の規定は、前項第一号及び第二号の場合にこれを準用する。
〔昭六二法一〇一第一項改正〕
*協議上の離縁(八一一)、悪意の遺棄(八〇九・七三〇・八七七以下)、代諾権者からの提訴(八一五)、離縁の訴訟・調停・審判(人訴二四−二六、家審一七・二二・二四・二五・二六2)、裁判上の離縁と届出(戸七三・六三、家審規一四三)、離縁の準拠法(法例二〇)、特別養子の特則(八一七の一〇)
⇒参照条文
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第815条〔協議権者からの離縁の訴え〕
養子が満十五歳に達しない間は、第八百十一条の規定によつて養親と離縁の協議をすることができる者から、又はこれに対して、離縁の訴を提起することができる。
〔昭三七法四〇本条改正〕
*離縁の訴え(八一四)
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第816条〔離縁による復氏〕
養子は、離縁によつて縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。
□縁組の日から七年を経過した後に前項の規定によつて縁組前の氏に復した者は、離縁の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによつて、離縁の際に称していた氏を称することができる。
〔昭六二法一〇一第一項改正・二項追加〕
*縁組による氏の変更(八一〇)、復氏と戸籍(戸一九1・二〇・二三)、復氏と祭祀供用物の承継(八一七・七六九)、戸主の廃止と経過規定(附則二八)、□離縁の際の氏を称する場合(戸七三の二・一九)
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第817条〔離縁による復氏の場合の祭祀供用物の承継者〕
第七百六十九条〔離婚による復氏の際の祭祀供用物の承継〕の規定は、離縁にこれを準用する。
*離縁と祭祀供用物の承継(七六九、家審九1乙(6)・一五・一七以下、家審規六九)、離縁による復氏(八一六)
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第5款 特別養子〔昭六二法一〇一本款追加〕
第817条の2〔特別養子縁組の成立〕
家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
□前項に規定する請求をするには、第七百九十四条〔後見人・被後見人間の縁組〕又は第七百九十八条〔未成年の養子〕の許可を得ることを要しない。
*実方との親族関係の終了(八一七の九)、特別養子縁組の審判(家審九1甲(8)の二)、戸籍届出(戸六八の二・六三1)、新戸籍の編製(戸二〇の三・三〇3)、効果(八〇九)
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第817条の3〔養親の夫婦共同縁組〕
養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
□夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。
*未成年者を普通養子とする場合(七九五)
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第817条の4〔養親の年齢制限〕
二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。
*普通養子の場合の養親の年齢制限(七九二)
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第817条の5〔養子の年齢制限〕
第八百十七条の二に規定する請求の時に六歳に達している者は、養子となることができない。ただし、その者が八歳未満であつて六歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合は、この限りでない。
*普通養子の場合の養子の年齢制限(七九三)
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第817条の6〔父母の同意〕
特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。
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第817条の7〔特別養子縁組の成立基準〕
特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。
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第817条の8〔縁組前の監護〕
特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
□前項の期間は、第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。
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第817条の9〔養子と実方との親族関係の終了〕
養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によつて終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
*婚姻障害の存続(七三四・七三五)
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第817条の10〔離縁〕
次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
二 実父母が相当の監護をすることができること。
□離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。
*離縁の審判(家審九1甲(8)の二)、戸籍届(戸七三・六三)、検察官の請求(戸七三2)
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第817条の11〔離縁による実方との親族関係の回復〕
養子と実父母及びその血族との間においては、離縁の日から、特別養子縁組によつて終了した親族関係と同一の親族関係を生ずる。
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第4章 親権
第1節 総則
第818条〔親権者〕
成年に達しない子は、父母の親権に服する。
□子が養子であるときは、養親の親権に服する。
□親権は、父母の婚姻中は、父母が共同してこれを行う。但し、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が、これを行う。
*親権の準拠法(法例二一)、父母でなくて親権を行う者(八三三・八六七、児福四七)、父母の離婚と親権者(八一九1-3,5)、父が認知した子の親権者(八一九4,5)、□養子の身分(八〇九)、□親権を行うことができないとき(八三四・八三七・七・一一)、婚姻中でない父母の共同親権(附則一四、家審附則2)
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第819条〔離婚および認知した場合の親権者〕
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
□裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
□子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母がこれを行う。但し、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
□父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父がこれを行う。
□第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によつて、協議に代わる審判をすることができる。
□子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によつて、親権者を他の一方に変更することができる。
*婚姻中でない父母の共同親権(附則一四、家審附則2)、□協議上の離婚の届出と親権者の指定(七六三−七六五、戸七六(1)・七九)、協議上の離婚と子の監護者(七六六)、□裁判所の親権者指定(人訴一五5・一六)、離婚届書と親権者(戸七七2(1))、親権者の変更(八一九6)、裁判上の離婚と子の監護者(七七一)、□協議による親権者の定めの届出(戸七八)、離婚後に生まれた子の届出(戸五二1)、□協議による親権者の定めと届出(戸七八)、□協議に代わる親権者指定の審判または調停(家審九1乙(7)・一七・二一1、家審規七〇・七一)、届出(戸七九、家審規七一)、□親権者(八一九1-5)、親権者変更の審判・調停(家審九1乙(7)・一七・二一1、家審規七二)、届出(戸七九、家審規七二・七一)、親権・管理権の喪失宣告または辞任(八三四−八三七)
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第2節 親権の効力
第820条〔監護・教育の権利義務〕
親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
*親権者でない監護者(七六六・七七一・七四九・八五七)、監護教育の費用(八七七・八二八)、後見人の未成年者監護教育権(八五七)、監護教育(八二一・八二二、未禁煙、未禁酒、憲二六2、教基四、学教二二−二六・三九・四〇、児福六・二五・二八・四八)、後見人と親権者が定めた教育方法の変更(八五七)、子の不法行為と親権者の責任(七一四)、親権者がその権利を適切に行わない場合の扶助(生保三〇3)
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第821条〔居所指定権〕
子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
*居住移転の自由(憲二二)、居所指定権の濫用(八三四)、後見人による親権者の定めた居所の変更(八五七)
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第822条〔懲戒権〕
親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。
□子を懲戒場に入れる期間は、六箇月以下の範囲内で、家庭裁判所がこれを定める。但し、この期間は、親権を行う者の請求によつて、何時でも、これを短縮することができる。
*懲戒の許可(家審九1甲(9)、家審規六五・六六)、児童自立支援施設・少年院に入れる処分(少三・六・二四)、その他の少年の保護処分および福祉の措置(少三・二四、少審規、少年院、児福二五以下)、校長および教員の懲戒権(学教一一)、許可その他の処分の取消変更(家審規六六2)、身体の自由(憲三一、人保)、懲戒権の濫用(八三四)、後見人の懲戒権(八五七)
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第823条〔職業許可権〕
子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
□親権を行う者は、第六条第二項〔未成年者にまだ営業に堪えない事跡がある場合〕の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
*未成年者の営業許可(六、商五・六)、未成年者の労働契約(労基五六以下、船員八四以下)、後見人の職業許可権(八五七・八六四)
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第824条〔財産管理権と代理権〕
親権を行う者は、子の財産を管理し、又、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。但し、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
*親権者の管理権の喪失宣告または辞任(八三四−八三七)、後見人の財産管理・代理権(八五九・八六八)、親権者が管理権を有しない財産(八三〇)、未成年者と財産の自由処分(五・六2)、財産管理と注意義務(八二七)、親権者の応急処分義務(八三一・六五四)、代理人(九九以下)、管理権代理権の消滅と相手方対抗(八三一・六五五・一一一・一一二、民訴三六)、復代理人選任権(一〇六)、親権の共同行使と一方の代理または同意(八二五)、利益相反行為と代理権(八二六)、労働契約と代理禁止(労基五八・五九)、親権者の同意(四−六)、身分行為と代理(七八七・七九一3・七九七・八〇四・八〇七・八一一2・八一五・八三三)、訴訟と代理(民訴二八・三一・三二・三四−三六)
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第825条〔共同親権者の一方が共同名義でした行為〕
父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わつて法律行為をし、又は子のこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときでも、これがために、その効力を妨げられることがない。但し、相手方が悪意であつたときは、この限りでない。
*父母の親権共同行使(八一八3・附則一四)、法律行為の代表(八二四、労基五八)、親権者と同意(四・六・八二三)
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第826条〔親権者と子の利益相反行為〕
親権を行う父又は母とその子と利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
□親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、その一方のために、前項の規定を準用する。
*特別代理人の選任(家審九1甲(10)、家審規六七)、本条違反の行為の効力(一一三−一一八)
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第827条〔親権者の注意義務〕
親権を行う者は、自己のためにすると同一の注意を以て、その管理権を行わなければならない。
*管理の失当と管理権喪失(八三五)、後見人の注意義務(八六九・六四四)
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第828条〔財産管理の計算〕
子が成年に達したときは、親権を行つた者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。但し、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益とこれを相殺したものとみなす。
*管理の計算(六四六・六四七・六五〇)、相殺(五〇五−五一二)、但書の特別規定(八二九)
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第829条〔特例〕
前条但書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。
*無償の財産譲与(五四九以下・九六四)
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第830条〔第三者が子に与えた財産の管理〕
無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父又は母の管理に属しないものとする。
□前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかつたときは、家庭裁判所は、子、その親族又は検察官の請求によつて、その管理者を選任する。
□第三者が管理者を指定したときでも、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様である。
□第二十七条乃至第二十九条〔不在者財産管理人の権利義務〕の規定は、前二項の場合にこれを準用する。
*財産管理者の選任(家審九1甲(11)・一六、家審規六八)、管理者の権限(二八)、管理者の義務(八三一、家審一六、家審規六八・三三−三六)、管理権消滅と応急処分義務および相手方対抗(八三一)、管理者の出捐償還請求権(家審一六、法六五〇)、管理者の改任・辞任その他家庭裁判所の処分の取消し(家審規六八・三二・三七)
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第831条〔委任の規定の準用〕
第六百五十四条〔委任終了時の緊急処分義務〕及び第六百五十五条〔委任終了対抗要件〕の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合及び前条の場合にこれを準用する。
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第832条〔管理に関する親子間の債権の消滅時効〕
親権を行つた者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から五年間これを行わないときは、時効によつて消滅する。
□子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から、これを起算する。
*管理の計算(八二八)、未成年者の父母に対する権利の時効停止(一五九)、債権の時効(一六七1)、時効の進行(一六六)、管理権の消滅(八一九6・八三四−八三七)、後任の法定代理人(八四二)、本条の準用(八七五)
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第833条〔子の親権の代行〕
親権を行う者は、その親権に服する子に代わつて親権を行う。
*後見人の親権代行(八六七)
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第3節 親権の喪失
第834条〔親権喪失の宣告〕
父又は母が、親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によつて、その親権の喪失を宣告することができる。
*親権行使の規準(一・一ノ二)、親権者の注意義務(八二七)、他の請求権者(児福三三の六)、親権喪失手続(家審九1甲(12)・一三、家審規七三−七八)、喪失宣告前の保全処分、職務代行者の選任・取消しおよび報酬等(家審規七四・七五・七八・七一)、親権喪失宣告の効果(八二八・八三二・八一八3・八三八(1)・八四六(3))、失権宣告と届出(戸七九、家審規七八・七一)、管理権消滅と応急処分義務および相手方対抗(八三一)、婚姻同意権には影響がない(七三七)、失権と後見人選任請求義務(八三八(1)・八四二、児福三三の七)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第835条〔管理権喪失の宣告〕
親権を行う父又は母が、管理が失当であつたことによつてその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によつて、その管理権の喪失を宣告することができる。
*管理権(八二四)、管理の失当(八二七)、親族(七二五)、管理権喪失宣告手続(家審九1甲(12)・一三、家審規七三−七八)、宣告前の保全処分、職務代行者の選任・取消しおよび報酬等(家審規七四・七五・七八・七一)、管理権喪失宣告の効果(八二八・八三二・八一八3・八三八(1)・八四二・八四六(3))、失権宣告と届出(戸七九、家審規七八・七一)、管理権消滅と応急処理義務および相手方対抗(八三一)、失権宣告の取消し(八三六)
⇒参照条文
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第836条〔失権宣告の取消し〕
前二条に定める原因が止んだときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によつて、失権の宣告を取り消すことができる。
*失権宣告取消しの審判(家審九1甲(12)・一三、家審規七九・八〇)、失権の取消しと届出(戸七九、家審規七九・七八・七一)、取消審判に対する親族の即時抗告(家審規八〇1)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第837条〔親権・管理権の辞任および回復〕
親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる。
□前項の事由が止んだときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる。
*家庭裁判所の許可(家審九1甲(13)・一三、家審規八一)、辞任および回復の届出と効果(戸八〇)、辞任の効果(八一八3・八三八(1)・八二八・八三二)、管理権消滅と応急処分義務および相手方対抗(八三一)、管理権を有しない者の権能(八六八・八三九)、親権または管理権の辞任と後見人選任請求義務(八三八(1)・八四二)、旧法による母の管理権の辞任(附則一八)
⇒参照条文
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第5章 後見
第1節 後見の開始
第838条〔後見開始の原因〕
後見は、左の場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二 禁治産の宣告があつたとき。
*後見開始の届出(戸八一)、□一□親権・管理権の喪失または辞任(八三四−八三七・八四二)、□二□禁治産宣告と後見(七・八)、後見の準拠法(法例二四)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第838条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一〔同〕
二 後見開始の審判があつたとき。
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第2節 後見の機関
第1款 後見人
第839条〔未成年者の指定後見人〕
未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、後見人を指定することができる。但し、管理権を有しない者は、この限りでない。
□親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定によつて後見人の指定をすることができる。
*未成年者と後見(八三八(1))、後見開始の届出(戸八一・八三1)、親権者が管理権を有しない場合(八三五・八三七・八三八(1)・八六七1)、後見人が欠けた場合(八四一後段)、後見監督人の指定(八四八)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第839条〔指定未成年後見人〕未成年者に対して最後に親権を行う者は、遺言で、未成年後見人を指定することができる。ただし、管理権を有しない者は、この限りでない。
□親権を行う父母の一方が管理権を有しないときは、他の一方は、前項の規定によつて未成年後見人の指定をすることができる。
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第840条〔禁治産者の法定後見人〕
夫婦の一方が禁治産の宣告を受けたときは、他の一方は、その後見人となる。
*禁治産宣告と後見(七・八・八三八(2))、後見開始の届出(戸八一)、後見人の要件(八四三・八四六)、後見人が欠けた場合(八四一後段)、法定後見人と旧法による後見人の地位喪失(附則一九)、保佐人へ準用(八四七)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第840条〔未成年後見人の選任〕前条の規定によつて未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によつて、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様である。
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第841条〔選定後見人〕
前二条の規定によつて後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、被後見人の親族その他の利害関係人の請求によつて、後見人を選任する。後見人が欠けたときも、同様である。
*後見人選任請求義務者(父・母・後見人=八四二、後見監督人=八五一(2)、児童相談所長=児福三三の七、都道府県知事・市長・福祉事務所を管理する町村長=生保八一・一九)、後見人の選任手続(家審九1甲(14)・一三、家審規八二−八五)、禁治産宣告の場合(家審規八二・二五・二六・二八・八三−八五)、一五歳未満の子の離縁後に後見人となるべき者の選任(八一一(5))、後見開始と届出(戸八一・八三2、家審規八五)、後見人の欠けたとき(八四四−八四六)、後見人の更迭と届出(八四二、戸八二・八三2)、旧法による後見人の地位(附則一九)、保佐人に準用(八四七)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第841条〔父母の未成年後見人選任請求義務〕父若しくは母が親権若しくは管理権を辞し、又は親権を失つたことによつて未成年後見人を選任する必要が生じたときは、その父又は母は、遅滞なく未成年後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
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第842条〔後見人選任請求義務〕
父若しくは母が親権若しくは管理権を辞し、後見人がその任務を辞し、又は父若しくは母が親権を失つたことによつて後見人を選任する必要が生じたときは、その父、母又は後見人は、遅滞なく後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
*後見人選任の請求(家審九1甲(14)、家審規八二)、後見監督人の後見人選任請求義務(八五一(2))、保佐人に準用(八四七)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第842条〔未成年後見人の数〕未成年後見人は、一人でなければならない。
⇒カタカナ本文へ
第843条〔後見人の数〕
後見人は、一人でなければならない。
*保佐人に準用(八四七)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第843条〔成年後見人の選任〕家庭裁判所は、後見開始の審判をするときは、職権で、成年後見人を選任する。
□成年後見人が欠けたときは、家庭裁判所は、成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求によつて、又は職権で、成年後見人を選任する。
□成年後見人が選任されている場合においても、家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前項に掲げる者若しくは成年後見人の請求によつて、又は職権で、更に成年後見人を選任することができる。
□成年後見人を選任するには、成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況、成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無)、成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。
⇒判例要旨
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第844条〔後見人の辞任〕
後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。
*後見人の辞任の許可(家審九1甲(15)・一三、家審規八二・八五の二)、辞任した後見人の後任後見人の選任請求義務(八四二)、後任後見人の選任(八四一後段・八五一(2))、後見人更迭と届出(戸八二・八三2、家審八五・七一)、保佐人・後見監督人に準用(八四七・八五二)
⇒参照条文
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第845条〔後見人の解任〕
後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人の親族若しくは検察官の請求によつて、又は職権で、これを解任することができる。
〔昭三七法四〇本条改正〕
*その他解任請求権者−児童相談所長(児福三三の八)、家庭裁判所による解任(家審九1甲(16)、家審規八二・八六・八七)、解任審判前の保全処分、職務代行者の選任・取消しおよび報酬等(家審規八六・七四−七六)、後任後見人の選任(八四一後段・八五一(2))、後見人更迭と届出(戸八二・八三2)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第845条〔後見人の選任請求義務〕後見人がその任務を辞したことによつて新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
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第846条〔後見人の欠格事由〕
左に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 禁治産者及び準禁治産者
三 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人又は保佐人
四 破産者
五 被後見人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
六 行方の知れない者
*保佐人・後見監督人に準用(八四七・八五二)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第846条〔後見人の解任〕後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求によつて、又は職権で、これを解任することができる。
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第847条〔保佐人〕
第八百四十条乃至前条の規定は、保佐人にこれを準用する。
□保佐人又はその代表する者と準禁治産者との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
*保佐人(一一・一二)、□保佐人の選任・辞任・解任(家審九1甲(14)−(16)、家審規九三・三〇・二五−二八)、準禁治産宣告と同時に保佐人を選任する場合(家審規三〇・二五・二六・二八)、保佐人と届出(戸八五)、□臨時保佐人の選任(家審九1甲(17)、家審規九三)、保佐人と準禁治産者間の債権の時効(八七六)、旧法による保佐人の地位(附則二〇)、保佐人の準拠法(法例二五)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第847条〔後見人の欠格事由〕次に掲げる者は、後見人となることができない。
一 未成年者
二 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
三 破産者
四 被後見人に対して訴訟をし、又はした者及びその配偶者並びに直系血族
五 行方の知れない者
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第2款 後見監督人
第848条〔指定後見監督人〕
後見人を指定することができる者は、遺言で、後見監督人を指定することができる。
*後見人を指定しうる者(八三九)、後見監督人の資格(八五二・八四六・八五〇)、後見監督人の届出(戸八五・八二・八三1)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第848条〔指定未成年後見監督人〕未成年後見人を指定することができる者は、遺言で、未成年後見監督人を指定することができる。
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第849条〔選任後見監督人〕
前条の規定によつて指定した後見監督人がない場合において必要があると認めるときは、家庭裁判所は、被後見人の親族又は後見人の請求によつて、後見監督人を選任することができる。後見監督人の欠けた場合も、同様である。
*後見監督人の資格(八五二・八四六・八五〇)、後見監督人の選任(家審九1甲(14)、家審規八二・九二・八三−八五)、後見監督人の辞任・解任(八五二・八四四−八四六)、後見監督人の就任・更迭と届出(戸八五・八一・八二・八三2)、旧法による後見監督人の地位(附則二〇)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第849条〔未成年後見監督人の選任〕前条の規定によつて指定した未成年後見監督人がない場合において必要があると認めるときは、家庭裁判所は、未成年被後見人、その親族若しくは未成年後見人の請求によつて、又は職権で、未成年後見監督人を選任することができる。未成年後見監督人の欠けた場合も、同様である。
第849条の2〔成年後見監督人の選任〕家庭裁判所は、必要があると認めるときは、成年被後見人、その親族若しくは成年後見人の請求によつて、又は職権で、成年後見監督人を選任することができる。
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第850条〔後見監督人の欠格事由〕
後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない。
*他の欠格事由(八五二・八四六)
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第851条〔後見監督人の職務〕
後見監督人の職務は、左の通りである。
一 後見人の事務を監督すること。
二 後見人が欠けた場合に、遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること。
三 急迫の事情がある場合に、必要な処分をすること。
四 後見人又はその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表すること。
*後見監督人のその他の権限(八四五・八五三2・八五五1・八五七・八六〇・八六三・八六四・八六七、人訴四1・二五・二八1)、後見監督人の注意義務(八五二・六四四)、□一□後見人の事務(八五三以下)、後見人の解任請求(八四五)、□二□後見人の欠員(八四四−八四六)、後見人の選任(八四二後段、家審九1甲(14)・一三、家審規八二−八五)、その他の後見人選任請求義務者(八四二)、□四□利益相反行為(八六〇)
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第852条〔注意義務・辞任・解任・欠格事由〕
第六百四十四条〔受任者の善管義務〕及び第八百四十四条乃至第八百四十六条〔後見人の辞任・解任・欠格事由等〕の規定は、後見監督人にこれを準用する。
*後見監督人の注意義務(六四四)、後見監督人の辞任・解任(八四四・八四五、家審九1甲(15)(16)、家審規九二・八五−八七)、後見監督人の欠格(八四六・八五〇)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第852条〔準用規定〕第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、後見監督人について準用する。
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第3節 後見の事務
第853条〔財産調査・財産目録調製〕
後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に著手し、一箇月以内に、その調査を終わり、且つ、その目録を調製しなければならない。但し、この期間は、家庭裁判所において、これを伸長することができる。
□財産の調査及びその目録の調製は、後見監督人があるときは、その立会を以てこれをしなければ、その効力がない。
*後見人の財産目録提出義務(家審九1甲(18)、法八六三、家審規八二)
⇒参照条文
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第854条〔目録調製前の権限〕
後見人は、目録の調製を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有する。但し、これを善意の第三者に対抗することができない。
*目録の調製(八五三)、急迫の必要がある行為(八五一(3))、本条の準用(八五六・八六七2)
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第855条〔被後見人に対する後見人の債権債務の申出〕
後見人が、被後見人に対し、債権を有し、又は債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に著手する前に、これを後見監督人に申し出なければならない。
□後見人が、被後見人に対し債権を有することを知つてこれを申し出ないときは、その債権を失う。
*財産の調査(八五三)
⇒参照条文
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第856条〔被後見人が包括財産を取得した場合への準用〕
前三条の規定は、後見人が就職した後被後見人が包括財産を取得した場合にこれを準用する。
*包括財産の取得(八九六・九六四)、本条の準用(八六七2)
⇒参照条文
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第857条〔未成年者の身上に関する権利義務〕
未成年者の後見人は、第八百二十条乃至第八百二十三条〔子の監護・教育・居所指定・懲戒・職業許可〕に規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。但し、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、未成年者を懲戒場に入れ、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
*監護教育(八二〇)、居所指定(八二一)、被後見人の懲戒(八二二、家審九1甲(9)、家審規八二・九〇・六六)、後見人と営業許可(八二三・八六四)、親権者が管理権を有しない場合の後見人の権限(八六八)、後見人の親権代行に準用(八六七)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第857条〔未成年後見人の権利義務〕未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、未成年被後見人を懲戒場に入れ、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。
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第858条〔禁治産者の療養看護〕
禁治産者の後見人は、禁治産者の資力に応じて、その療養看護に努めなければならない。
□禁治産者を精神病院その他これに準ずる施設に入れるには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
〔昭二五法一二三第二項改正〕
*□療養看護の費用(八六一、精保三一)、療養看護に関する家庭裁判所の指示(家審規八四・八八)、□禁治産者の入院の許可(家審九1甲(19)、家審規八八)、精神障害者の医療および保護(精保一)、保護義務者(精保二〇−二二の二)、保護義務者の同意による入院(精保三三・三四)、同意を得られない場合の応急入院(精保三三の四)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第858条〔成年後見人の配慮義務〕成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たつては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
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第859条〔財産管理と代理権〕
後見人は、被後見人の財産を管理し、又、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
□第八百二十四条但書〔子の行為を目的とする債務と本人の同意〕の規定は、前項の場合にこれを準用する。
*□財産管理権(八六〇−八六六・八六九)、代理権(九九−一〇一)、□代理権の制限(八二四但・六1・八六〇・八二六・八六四・八六五・八六九・八三〇1、労基五八1、商七2)、未成年者の後見人と同意権(四−六)、身分行為と法定代理権(七八七・七九一3・七九七・八一一2・八一五・八六七、人訴四2・二五・二八2)、訴訟と法定代理権(民訴二八・三一)、財産に関する権限のみの後見人(八六八)、親権者の財産管理・代理権(八二四)
⇒参照条文
⇒判例要旨
*〔平11法149改正〕
第859条の2〔成年後見人が数人ある場合〕成年後見人が数人あるときは、家庭裁判所は、職権で、数人の成年後見人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことを定めることができる。
□家庭裁判所は、職権で、前項の規定による定めを取り消すことができる。
□成年後見人が数人あるときは、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
第859条の3〔成年後見人による居住建物等の処分〕成年後見人は、成年被後見人に代わつて、その居住の用に供する建物又はその敷地について、売却、賃貸、賃貸借の解除又は抵当権の設定その他これらに準ずる処分をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
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第860条〔後見人と被後見人の利益相反行為〕
第八百二十六条〔親権者と子の利益相反する行為と特別代理人の選任〕の規定は、後見人にこれを準用する。但し、後見監督人がある場合は、この限りでない。
*後見監督人の代理権(八五一(4))、被後見人の財産等の譲受け(八六六)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第861条〔支出金額の予定〕
後見人は、その就職の初において、被後見人の生活、教育又は療養看護及び財産の管理のために毎年費すべき金額を予定しなければならない。
*教育・療養看護(八五七・八二〇・八五八)、財産の管理(八五九)、本条の準用(八六七2)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第861条 〔同〕
□後見人が後見の事務を行うために必要な費用は、被後見人の財産の中から支弁する。
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第862条〔後見人の報酬〕
家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によつて、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
*後見人に対する報酬付与(家審九1甲(20)、家審規八二)
⇒参照条文
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第863条〔後見事務の監督〕
後見監督人又は家庭裁判所は、何時でも、後見人に対し後見の事務の報告若しくは財産の目録の提出を求め、又は後見の事務若しくは被後見人の財産の状況を調査することができる。
□家庭裁判所は、後見監督人、被後見人の親族その他の利害関係人の請求によつて、又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。
*財産目録(八五三)、家庭裁判所の監督(家審九1甲(21)、家審規八二・八九)、臨時財産管理者の選任(家審規八九)、本条の準用(八六七2)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第863条 〔同〕
□家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求によつて、又は職権で、被後見人の財産の管理その他後見の事務について必要な処分を命ずることができる。
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第864条〔法定代理権および同意権の制限〕
後見人が、被後見人に代わつて営業若しくは第十二条第一項〔保佐人の同意を要する行為〕に掲げる行為をし、又は未成年者がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。但し、元本の領収については、この限りでない。
*後見人の代理権・同意権(八五九・四・六)、営業をなしまたは同意をすること(八五七・八二三・六、商五・七)、本条違反の効果(八六五)、親族会の同意を得なかった場合(附則二一)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第864条 後見人が、被後見人に代わつて営業若しくは第十二条第一項に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、元本の領収については、この限りでない。
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第865条〔前条違反の効果〕
後見人が、前条の規定に違反してし、又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人において、これを取り消すことができる。この場合には、第十九条〔無能力者の相手方の催告権〕の規定を準用する。
□前項の規定は、第百二十一条乃至第百二十六条〔取消しうべき法律行為の取消しの効果・追認〕の規定の適用を妨げない。
*本条の準用(八六七2)
⇒参照条文
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第866条〔被後見人からの財産等の譲受け〕
後見人が被後見人の財産又は被後見人に対する第三者の権利を譲り受けたときは、被後見人は、これを取り消すことができる。この場合には、第十九条〔無能力者の相手方の催告権〕の規定を準用する。
□前項の規定は、第百二十一条乃至第百二十六条〔取消しうべき法律行為の取消しの効果・追認〕の規定の適用を妨げない。
*利益相反行為(八六〇・八五一(4))
⇒参照条文
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第867条〔未成年者の親権の代行〕
後見人は、未成年者に代わつて親権を行う。
□第八百五十三条乃至第八百五十七条〔被後見人の財産の調査、目録の調製等〕及び第八百六十一条乃至前条〔後見の報酬・監督等〕の規定は、前項の場合にこれを準用する。
*親権者の親権代行(八三三)、□懲戒の許可(家審九1甲(9)、家審規八二・九一)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第867条〔未成年被後見人の親権の代行〕未成年後見人は、未成年被後見人に代わつて親権を行う。
□〔同〕
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第868条〔財産に関する権限のみの後見人〕
親権を行う者が管理権を有しない場合には、後見人は、財産に関する権限のみを有する。
*管理権の喪失または辞退と後見の開始(八三五・八三七1・八三八(1))、財産に関する権限(八五九−八六六)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第868条 親権を行う者が管理権を有しない場合には、未成年後見人は、財産に関する権限のみを有する。
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第869条〔注意義務、管理権の制限〕
第六百四十四条〔受任者の善管義務〕及び第八百三十条〔第三者が子に与えた財産の管理〕の規定は、後見にこれを準用する。
*第三者が被後見人に無償で与えた財産の管理(家審九1甲(11)、家審規八二・九〇)
⇒参照条文
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第4節 後見の終了
第870条〔管理の計算〕
後見人の任務が終了したときは、後見人又はその相続人は、二箇月以内にその管理の計算をしなければならない。但し、この期間は、家庭裁判所において、これを伸長することができる。
*管理の計算(八七一−八七四)、期間伸長の審判(家審九1甲(22)、家審規八二)、後見終了の届出(戸八二・八四)、後見人更迭の届出(戸八二)
⇒参照条文
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第871条〔後見監督人の立会い〕
後見の計算は、後見監督人があるときは、その立会を以てこれをする。
*管理の計算(八七〇)
⇒参照条文
⇒カタカナ本文へ
第872条〔未成年者・後見人間の契約の取消し〕
未成年者が成年に達した後後見の計算の終了前に、その者と後見人又はその相続人との間にした契約は、その者においてこれを取り消すことができる。その者が後見人又はその相続人に対してした単独行為も、同様である。
□第十九条〔無能力者の相手方の催告権〕及び第百二十一条乃至第百二十六条〔取消しの効果・追認等〕の規定は、前項の場合にこれを準用する。
*後見の計算(八七〇)、取消しにより生じた債権の時効(八七五2・一五九)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第872条〔未成年被後見人・未成年後見人間の契約の取消し〕未成年被後見人が成年に達した後後見の計算の終了前に、その者と未成年後見人又はその相続人との間にした契約は、その者においてこれを取り消すことができる。その者が未成年後見人又はその相続人に対してした単独行為も、同様である。
□〔同〕
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第873条〔後見人および被後見人の利息支払義務〕
後見人が被後見人に返還すべき金額及び被後見人が後見人に返還すべき金額には、後見の計算が終了した時から、利息をつけなければならない。
□後見人が自己のために被後見人の金銭を消費したときは、その消費の時から、これに利息をつけなければならない。なお、損害があつたときは、その賠償の責に任ずる。
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第874条〔委任の規定の準用〕
第六百五十四条〔委任終了時の緊急処分義務〕及び第六百五十五条〔委任終了と相手方対抗〕の規定は、後見にこれを準用する。
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第875条〔後見に関する債権の消滅時効〕
第八百三十二条〔管理に関する親子間の債権の消滅時効〕に定める時効は、後見人又は後見監督人と被後見人との間において後見に関して生じた債権にこれを準用する。
□前項の時効は、第八百七十二条の規定によつて法律行為を取り消した場合には、その取消の時から、これを起算する。
*被後見人が後見人に対して有する債権の時効の停止(一五九)、債権の時効(一六七1)、時効の進行(一六六)、保佐人に準用(八七六)
⇒参照条文
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第876条〔保佐に関する債権の消滅時効〕
前条第一項の規定は、保佐人と準禁治産者との間にこれを準用する。
*保佐人(一一・八四七1)
⇒参照条文
*〔平11法149改正〕
第5章の2 保佐及び補助
第1節 保佐
第876条〔保佐の開始〕保佐は、保佐開始の審判によつて開始する。
第876条の2〔保佐人の選任〕家庭裁判所は、保佐開始の審判をするときは、職権で、保佐人を選任する。
□第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、保佐人について準用する。
□保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については、保佐人は、臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、保佐監督人がある場合は、この限りでない。
第876条の3〔保佐監督人〕家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被保佐人、その親族若しくは保佐人の請求によつて、又は職権で、保佐監督人を選任することができる。
□第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、保佐監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被保佐人を代表し、又は被保佐人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。
第876条の4〔保佐人への代理権付与の審判〕家庭裁判所は、第十一条本文に掲げる者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求によつて、被保佐人のために特定の法律行為について保佐人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
□本人以外の者の請求によつて前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
□家庭裁判所は、第一項に掲げる者の請求によつて、同項の審判の全部又は一部を取り消すことができる。
第876条の5〔保佐人の義務〕保佐人は、保佐の事務を行うに当たつては、被保佐人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
□第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
□第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。
第2節 補助
第876条の6〔補助の開始〕補助は、補助開始の審判によつて開始する。
第876条の7〔補助人の選任〕家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、職権で、補助人を選任する。
□第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は、補助人について準用する。
□補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については、補助人は、臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし、補助監督人がある場合は、この限りでない。
第876条の8〔補助監督人〕家庭裁判所は、必要があると認めるときは、被補助人、その親族若しくは補助人の請求によつて、又は職権で、補助監督人を選任することができる。
□第六百四十四条、第六百五十四条、第六百五十五条、第八百四十三条第四項、第八百四十四条、第八百四十六条、第八百四十七条、第八百五十条、第八百五十一条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項及び第八百六十二条の規定は、補助監督人について準用する。この場合において、第八百五十一条第四号中「被後見人を代表する」とあるのは、「被補助人を代表し、又は被補助人がこれをすることに同意する」と読み替えるものとする。
第876条の9〔補助人への代理権付与の審判〕家庭裁判所は、第十四条第一項本文に掲げる者又は補助人若しくは補助監督人の請求によつて、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
□第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。
第876条の10〔準用規定〕第六百四十四条、第八百五十九条の二、第八百五十九条の三、第八百六十一条第二項、第八百六十二条、第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について、第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
□第六百五十四条、第六百五十五条、第八百七十条、第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について、第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。
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第6章 扶養
第877条〔扶養義務者〕
直系血族及び兄弟姉妹は、互に扶養をする義務がある。
□家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合の外、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
□前項の規定による審判があつた後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
*扶養義務の懈怠(八一四1(1)、刑二一八・二一九)、親族間の互助義務(七三〇)、夫婦と協力扶助義務(七五二)、扶養に関する審判(家審九1乙(8)、家審規九四・九五・九七・九八)、審判前の臨時処分(家審規九五)、扶養と生活保護(生保四2,3・七七)、扶養義務の準拠法(法例三四、扶養準拠)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第878条〔扶養の順位〕
扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するに足りないとき、扶養を受けるべき者の順序についても、同様である。
*扶養に関する審判(家審九1乙(8)、家審規九四・九五・九七・九八)、順位の変更(八八〇)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第879条〔扶養の程度または方法〕
扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。
*扶養の程度または方法についての審判(家審九1乙(8)、家審規九四以下)、扶養の程度または方法の変更(八八〇)
⇒参照条文
⇒判例要旨
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第880条〔扶養関係の変更または取消し〕
扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があつた後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消をすることができる。
*扶養の順序(八七八)、協議または審判の取消変更審判(家審九1乙(8)、家審規九四以下)、扶養判決変更審判(附則二四)
⇒参照条文
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第881条〔扶養請求権の処分禁止〕
扶養を受ける権利は、これを処分することができない。
*一身専属権と債権譲渡(四六六1)、一身専属権と相続(八九六)、法律上の養料と差押禁止(民執一五二1(2)、破六3)、差押禁止債権と相殺(五一〇)、扶養義務者の破産と扶養料(破一九二・一九四・四七(9))
⇒参照条文
⇒判例要旨